新しい障害者支援の枠組み…状況に即して 自立・就労を促進
今年4月、障害者自立支援法と改正障害者雇用促進法が施行されました。障害があっても働ける社会づくりに、国は本格的に乗り出しました。
企業への就職や自営など、一般的な働き方ができる障害者はまだ少数です。多くは福祉施設で作業をしながら工賃収入を得ていますが、工賃は平均月2万円程度と低く、企業への就職に向けたトレーニングも不十分でした。二つの法律は、こうした問題の解決を目指しています。
改正雇用促進法では、自宅や福祉施設で仕事をしている人に企業が仕事を発注した場合、調整金や報奨金を企業に支払います。在宅で働く障害者を企業が活用するよう促すためです。通勤が難しい人でも、自宅や施設を仕事場にして、ヘルパーから介護を受けながら働くチャンスが増えます。
また、精神障害者を雇った場合でも、企業の雇用率に算定できるようにしました。ジョブコーチなどの支援を受けながら企業で働く精神障害者も増えそうです。
一方、自立支援法では、福祉施設での就労支援の仕組みを見直しました。企業への就職を目指しトレーニングを積むタイプと、就職は難しいので施設で継続して働くタイプに分け、障害の状況に応じた支援ができるように改めました。
いったん企業に就職し、その後、仕事がうまくいかずに退職してしまった場合、再び施設に戻って再挑戦することも可能です。
ただ、自立支援法には障害者から反対の声が出ています。介護や施設を利用する際、原則として費用の1割を自己負担しなければならないからです。「自己負担の支払いで、工賃が吹っ飛んでしまう」と言う人もいます。
働ける人が増えれば、税金を納める人も増えるので、社会全体にプラスです。二つの法律が車の両輪となって、より成果をあげられるよう、必要な見直しを行うための議論が必要です。
せっかく働く機会を手に入れても、施設費用などの自己負担が増えてしまっては、どこが「障害者自立支援」なんでしょうか?